長生きが必ずしも幸福に繋がるわけではない。
長生きすれば、その分だけ幸福になるための機会に遭遇する回数は増えるかも知れないが、それ以上に不幸になるための機会に遭遇する回数は増える。
世の中が勝ち組と負け組とにハッキリ分かれており、勝ち組は一握りしか存在しないのに対し、負け組の方が圧倒的に多い。大多数の負け組側が不幸と感じるのは当然だが、勝ち組側が必ずしも幸福であるとは限らない。
若い時には勝ち組側であっても、歳を重ねるだけ肉体はもちろん、精神も衰えていき、競争の優位性が損なわれていくことで、徐々に負け組側へと席をずらされていくことになる。
何より本人が「勝たねばならない」といった類の信念を幼い頃から植え付けられていることで「勝てない=不幸」といった思考の癖から抜け出せないというのが大きな問題。この「不幸になるための英才教育」を受けて拗らせてしまった猿が長生きしたところで、不幸になるための機会に遭遇する回数が増えるだけ。